自動化の相談では、ほぼ毎回同じ二つの問いが出ます。ひとつはデータがどこへ行くのか。もうひとつはこれです。「いつ結果が見えますか」
正直な答えはひとつの数字ではありませんし、数字を示す相手には少し慎重になったほうがよいでしょう。同じ仕事でも二つの会社では所要期間が大きく変わります。違いは技術ではなく、その会社がどれだけ整っているかにあります。
本稿では期間を左右する要因、構築が通る段階、そして進んでいるかどうかの見分け方を扱います。目的は日程表を渡すことではなく、どこを見ればよいかを示すことです。
⏱️ 覚えておきたいこと:自動化の期間は、技術的な難しさよりも業務の流れがどれだけ明確に定義されているかに左右されます。手順が書き出され、例外が把握されている流れは早く組み上がります。人によってやり方が変わる場合、時間の多くは構築ではなく、流れを明確にすることに費やされます。
なぜ誰も確定した期間を言えないのか
構築で目に見えるのは仕組みそのものです。きっかけ、手順、つなぎ込み。この部分はたいてい見通せます。予想外は、目に見えない部分から出てきます。
目に見えない部分とは、業務が実際にどう回っているかです。紙の上では五つの手順に見える仕事が、現場では十五の例外を抱えていることがあります。これらの例外は構築の途中で一つずつ現れ、そのたびに判断を求めます。
ですから真面目な提案は、期間をひとつの数字ではなく段階で説明します。各段階がいつ終わるかは、前の段階の成果物次第です。
期間を左右する五つの要因
業務の流れがどれだけ定まっているか
毎月かたちが変わる仕事を自動化するのは、毎月作り直すのと同じです。流れが落ち着く前に始めると、時間は構築ではなく手直しに消えます。期間を最も引き延ばす要因です。
どうすべきか:構築の前に流れを一段ずつ書き出してください。それだけで最大の加速要因になります。どこから始めるかは五つの段階で進めるデジタル化が道筋を示してくれます。
例外の数
「普段はこうしますが、あの場合は別です」という言葉が何度出るかは、そのまま期間に響きます。例外のひとつひとつが仕組みの中の別の道です。例外の少ない流れは早く組め、多い流れはまず簡素にしたほうがよいでしょう。
どうすべきか:ひとつの流れから始めてください。五つを同時に組むのは、ひとつを終えて次へ進むより遅くなります。流れの書き出しを実際に練習したい方には、研修シリーズが順を追って続いています。
データの状態
データが一か所に整っていれば構築は速く進みます。半分が表計算に、半分が手帳に、一部が誰かの携帯にあるなら、まず集める作業が要ります。この作業は自動化より前に来て、期間に加わります。
どうすべきか:構築を待たずに集める作業を始めてください。長くなるのは構築ではなく、その前の準備です。
いくつの仕組みをつなぐか
ひとつの場所で始まり、ひとつの場所で終わる流れは早く組めます。ウェブの入力欄、メッセージ、表、予定表、会計ソフトをつなぐ必要があるなら、つなぎ込みの一本一本が別の仕事であり、それぞれに予想外が潜みます。
どうすべきか:最初の回はつなぎ先の数を絞ってください。動き出してから足していけます。
誰が引き受けるか
会社側でこの仕事を引き受ける人がいないと、構築は待ち続けます。質問に答え、判断し、試す必要があります。それを担う人がいなければ、技術側が整っていても仕事は進みません。
どうすべきか:始める前に担当を決めてください。質問に答え、判断できる人がひとりいれば足ります。
構築が通る段階
期間ではなく段階を見るほうが、健全なものさしです。各段階には固有の成果物があり、それが見えるまで次へは進みません。
第一段階:業務の流れを書き出す
誰がいつ何をするのか、どの情報がどこへ向かうのか、どんな場合に扱いが変わるのか。この段階の成果物は書面の業務地図です。地図なしに始めた構築は、あとでやり直すことになりがちです。
第二段階:構築
ここで仕組みそのものが形になります。きっかけを定め、手順をつなぎ、条件を書き、例外の道を開きます。技術的には最も密度の高い段階ですが、たいてい最も見通しやすい段階でもあります。
第三段階:並行運用
仕組みが動きますが、これまでのやり方も続きます。二つがしばらく並んで進みます。狙いは、実際のデータを前に仕組みがどう振る舞うかを見ることです。想定外の入力はここで現れ、直されます。
この段階は飛ばしたくなります。仕事を二度しているように見えるからです。しかし飛ばすと、最初の不具合が本番で起き、信頼が損なわれます。
第四段階:引き渡し
これまでのやり方を手放します。チームが仕組みを使い始めます。この段階で研修、権限の設定、そして「何かおかしいときにどうするか」が引き継がれます。
第五段階:なじませる
動いているあいだに新しい状況が出てきます。顧客が入力欄を違うふうに埋め、取引先が形式を変えます。こうした手直しは正常で、しばらく続きます。その後、仕組みは落ち着きます。
最初の効果はいつ見えるのか
目に見える最初の効果は、たいてい第三段階、並行運用のあいだに現れます。仕組みはまだ引き渡されていませんが、すでに仕事の一部を担い始めています。
ここで触れておきたい誤解があります。最初の効果は時間の節約とは限りません。並行運用のあいだ、チームはまだ二つの仕事を同時にこなしています。最初の違いは別のところに現れることが多いのです。
- 忘れられる仕事が減ります。リマインドが働いているので、追いかけが抜けません。
- 探すのに使う時間が短くなります。情報が一か所にあります。
- 返信の遅れが小さくなります。届いたメッセージが自ずと担当者へ届きます。
- 同じ情報を二度入力する必要がなくなります。
本当の時間の節約は引き渡しのあとに感じられます。その時点でこれまでのやり方を手放すからです。
うまく進んでいるか:見るべき兆し
構築が進むあいだ、前進は測れるものでなければなりません。次のような点は順調さの目安になり得ます。
- 各段階に手に取れる成果物があり、それが見えている。
- 現れた例外が記録され、判断されている。溜め込まれていない。
- チームの中に、ひとりで仕組みを使える人が少なくともひとりいる。
- 質問が減っている。最初に質問が多いのは普通で、減らないなら何かが伝わっていない。
- 構築の途中で業務の流れ自体も良くなっている。余分な手順が見えてくる。
停滞の兆し
次のような様子が見えるなら、仕事は止まっているかもしれません。
- 同じ判断が何度も話し合われるのに、決まらない。
- 「これも入れよう」という要望が積み上がり、範囲が膨らむ。
- 試すものがあるのに、誰も試さない。
- チームは仕組みを見ておらず、経営層だけが知っている。
- 例外が出ているのに、書き留められていない。
これらの兆しの多くは技術ではなく組織の問題であり、その手当ても同じです。自動化の取り組みがなぜ止まるのかは自動化プロジェクトが失敗する理由で詳しく扱いました。
道具選びが期間に与える影響
出来合いの製品を入れるほうが、一から作るより速く進みます。しかし業務と噛み合わないと、業務のほうを道具に合わせにいくことになり、時間はそこで失われます。あつらえの構築は長くかかりますが、業務をそのまま受け止めます。
選び方が合っていれば作業は短くなり得ますし、外れていれば全体が延びかねません。この判断にはあつらえの開発か、出来合いの製品かの観点が役立つかもしれません。
私たちの進め方
構築の前に業務の流れを一緒に洗い出し、段階を最初に取り決めます。各段階の成果物は何か、誰が何を決めるのか、並行運用はいつ始めるのか。
期間についてひとつの数字は出しません。代わりに段階を追って進み、それぞれの終わりに今どこにいるのかを一緒に確かめます。ある段階が思ったより長引く場合は、その理由をお伝えします。
よくある質問
構築の間、日常業務に支障は出ますか。
構築そのものが日常業務を止めることはありません。これまでのやり方は動き続けるからです。チームの時間を要するのは、業務の流れを書き出す段階と試験の段階です。質問に答え、実例を見せ、できたものを試す作業です。ここが繁忙期と重なると構築は待つことになるため、日程は最初に決めておくのが賢明です。
引き渡しのあとも保守は必要ですか。
必要です。どのような性質のものかを知っておくと役立ちます。つないだサービスは折々変わり、届くデータの形式もずれ、事業の流れ自体も育っていきます。これらは故障ではなく通常の手入れです。誰が見るのか、不具合が出たときどこへ連絡するのかを構築の段階で書面にしておくべきです。
二つ目の業務はいつ自動化すべきですか。
最初の仕組みが引き渡され、チームが自分たちで使い始めたあとです。目安は暦ではなく振る舞いです。チームが以前のやり方に戻らず、質問も減っていれば、次の業務へ進めます。二つの構築を重ねると、どちらも遅くなることがあります。
構築が途中で止まった場合、手元には何が残りますか。
どの段階で止まったかによります。業務の流れを書き出した資料ができていれば、それは会社に残り、それ自体に価値があります。のちにどの道具を使う場合でも活かせます。仕組みの側については、作られた流れとデータが引き渡されるかどうかを契約に記しておくべきです。
チームからは誰が、どれくらいの時間を割く必要がありますか。
その仕事を日々担っている人と、判断できる人です。前者は流れを最もよく知り、後者は例外が現れたときに方向を示します。両方が同じ人であってもかまいません。必要な時間は一定ではありません。書き出しと試験の段階に集まり、構築の段階では和らぎます。
まとめ
「どれくらいかかるのか」の答えは会社ごとに違い、それを決めるのは技術ではありません。業務の流れがどれだけ明確か、例外をいくつ抱えているか、データがどこにあるか、誰がその仕事を引き受けるかが、合わさって全体の期間を決めます。
ですから日程表より段階を見るほうが健全です。各段階に手に取れる成果物を置き、それが見えるまで次へ進まないこと。そうすれば今どこにいるかが分かり、滞りにも早く気づけます。
