会計事務所では、月末が近づくとおなじみの光景が生まれます。請求書の一部は WhatsApp で写真として届き、一部はメールに添付され、一部は顧問先が自分で封筒に入れて事務所に持ってきます。書類を早めに送ってくる顧問先もいれば、最終日まで音沙汰のない顧問先もいます。事務所のスタッフは、届いた書類を整理しながら、届いていない書類を追いかけることになります。
書類集めは、事務所の本来の仕事である記帳と確認の手前にある工程です。この工程が散らかったまま進むと、本来の仕事に使える時間も削られることがあります。この記事では、書類集めをもっと見通しのきくものにするために使える方法を取り上げます。カレンダーの事前告知、窓口の一本化、不足書類リスト、段階的なリマインド、そして誰が送って誰が送っていないかの把握です。
⚡ 想定シナリオ:小さな会計事務所を考えてみましょう。事務所には税理士のほかに数名のスタッフがいて、スタッフごとに担当する顧問先が決まっています。書類は、あるときはスタッフの個人のスマートフォンに、あるときは事務所の共用メールに届きます。月末に、ある顧問先の書類は届いたかと聞かれると、答えるために何台かのスマートフォンと受信トレイを探し回らなければなりません。
書類が最終日まで持ち越される理由
顧問先が書類を遅れて送るのは、たいていの場合、怠慢からではなく、あいまいさから生まれます。どの書類を、いつまでに、どこへ送ればよいかがはっきりしないと、顧問先はそれを自分の仕事の合間に押し込み、リマインドが来るまで後回しにします。事務所の側にも似たようなあいまいさがあります。書類がどの経路で届くかわからないため、届いた書類に気づくことさえ時間がかかることがあります。
そのため、書類集めを整えることは、顧問先に圧力をかけることよりも、あいまいさを減らすことに近いと言えます。顧問先が何を、いつ、どこへ送ればよいかを知っていれば、期限内に送ってくれる見込みも高まることがあります。
書類カレンダーを前もって知らせる
事務所が独自の社内提出日を決めることが、書類集めの第一歩になり得ます。この日は公式の期限とは別に、事務所が書類を処理するために自分たちに残しておく余裕を示します。公式の期限や義務は変わることがあり、この記事の主題ではありません。ここで扱うのは、事務所が顧問先に何日までに書類を求めるかです。
この社内提出日は、期の初めにすべての顧問先へ同じ文面で知らせることができます。お知らせが短ければ、読まれる見込みも高まることがあります。どの日、どの書類、どの窓口か、それだけです。カレンダーが毎期同じ形で繰り返されれば、顧問先もしばらくすると自分の習慣に組み込めるようになります。
書類の窓口を一本にする
書類が複数の経路から届くことは、事務所が最もよく経験する散らかりの一つです。同じ顧問先の請求書が、ある月は WhatsApp で、ある月はメールで届くことがあり、スタッフが個人のスマートフォンに届いた書類を共用フォルダへ移し忘れることもあります。窓口を一本にすれば、書類をどこで探せばよいかという問いをなくせます。
どの窓口を選べるか
顧問先の多くがスマートフォンで書類の写真を送ることに慣れているなら、事務所の共用 WhatsApp 番号が向いていることがあります。書類が主に電子ファイルで届くなら、事務所の共用メールアドレスのほうが整った選択になることがあります。窓口を選ぶときは、書類に個人情報や財務情報が含まれることも考慮できます。この点からも、個人のスマートフォンではなく事務所が持つ番号やアドレスを使うほうを選べます。
窓口は事務所のものにする
窓口があるスタッフの個人のスマートフォンにあると、そのスタッフが休暇中のあいだ、書類も一緒に待つことになります。事務所が持つ共用の番号やアドレスなら、誰が開くかに関係なく、書類を全員が見られる場所に置いておけます。WhatsApp 番号を共同で使い、届いたメッセージを整理する仕組みをどう作れるかは、WhatsApp・Telegram 自動化サービスで説明しています。メールで届く書類の振り分けについては、メール管理の自動化のページをご覧いただけます。
顧問先ごとの不足書類リスト
「書類を送ってください」という一般的なメッセージは、顧問先に何が足りないかを伝えません。顧問先はどの書類を送ったか覚えていないことがあり、足りないものを自分で探さなければなりません。顧問先ごとの不足書類リストなら、届いていないものだけを示せます。
このリストのためには、事務所が顧問先ごとに待っている書類の種類を一度書き出しておく必要があります。期中に届いた書類に印をつけていくとリストは短くなり、顧問先に送るリマインドには残った項目だけを含められます。下の表は、一般的なメッセージと顧問先ごとのリストの違いをまとめたものです。
| 状況 | 一般的なリマインド | 顧問先ごとのリスト |
|---|---|---|
| 顧問先が書類の一部を送った | 全部送ったと思うことがある | 足りないものだけが見える |
| 顧問先がどの書類が必要かわからない | 事務所に電話して聞くことがある | 必要な書類がリストに書かれている |
| 事務所のスタッフが状況を確認する | 受信トレイを一通ずつ見ていく | リストから足りない項目を読む |
| 顧問先に新しい種類の書類が出てきた | 見落とされることがある | リストに一度加えれば、次の期以降も確認される |
段階的なリマインドの組み立て方
リマインドを一度だけ、しかも最終日近くに行うと、書類が同じ日に集中することがあります。段階的なリマインドは、いくつかの段階に分けて顧問先に届き、段階ごとに少しずつ口調を変えます。
最初のお知らせ
期の初めに、社内提出日と必要な書類を全員に知らせます。このメッセージは案内が目的で、まだ不足リストは含みません。
中間のリマインド
社内提出日のしばらく前に、書類が足りない顧問先へそれぞれの不足リストを送ります。書類をそろえた顧問先にはこのメッセージが届かないようにすると、リマインドを真剣に受け止めてもらう助けになることがあります。
最後のリマインドと電話
社内提出日が近づいたら、まだ不足のある顧問先に最後のメッセージを送ります。この段階を過ぎても書類が届かなければ、担当スタッフが顧問先に電話することを検討できます。電話を、書面のリマインドでは足りなかった少数の顧問先に限れば、スタッフの時間も守れます。
誰が送って、誰が送っていないか
書類集めで最も時間がかかるのは、多くの場合、書類を受け取ることではなく、誰から何が届いたかを把握することです。この情報がスタッフの頭の中やばらばらのメモにあると、月末に状況を知るために一人ずつ聞いて回る必要が出てくることがあります。
顧問先の一覧、必要な書類、届いた書類を一つの表やパネルにまとめておけば、この問いに一目で答えられるようになります。このような画面では、顧問先ごとに状態が書かれています。完了、不足あり、まだ何も届いていない。税理士もスタッフに聞かずに、その期がどこまで進んでいるかを見られます。顧問先の記録とやり取りの履歴を一か所にまとめるために、CRM・顧客管理システムのページで紹介している仕組みをこの目的に使うこともできます。
自動化はどこで役立つか
ここまでの手順は、すべて手作業でも進められます。顧問先が多くない事務所なら、表一つと決まったカレンダーで足りることがあります。顧問先が増えるにつれて、繰り返しの部分がスタッフの時間を奪い始め、そこで自動化が役に立つことがあります。
自動化が役立つのは、繰り返し発生し、ルールとして決められる作業です。期の初めのお知らせの送信、不足リストに沿った顧問先ごとのリマインドの準備、共用の窓口に届いた書類を該当する顧問先のフォルダに保存すること、状況表の更新がそれにあたります。自動化では代われない部分もあります。書類の内容が正しいかどうかの判断、足りない書類について顧問先と話すこと、財務に関するあらゆる判断は、事務所自身の仕事です。
まとめ
顧問先からの書類が遅れるのは、たいていの場合あいまいさが原因です。事務所が独自の社内提出日を決めて期の初めに知らせること、書類のために事務所が持つ窓口を一本に決めること、顧問先ごとに不足書類リストを持つこと、リマインドを段階的に行うことで、このあいまいさを減らせることがあります。誰が送って誰が送っていないかが一か所で見えれば、月末に探し回る手間も短くできることがあります。顧問先が増えたら、これらの手順の繰り返しの部分は自動化に任せられます。書類の判断は事務所の仕事として残ります。
よくある質問
顧問先の書類はなぜ最終日まで持ち越されるのか
書類が遅れて届くのは、たいていの場合あいまいさが原因です。顧問先がどの書類を、いつまでに、どこへ送ればよいかをはっきり知らないと、後回しにすることがあります。事務所が社内提出日、必要な書類、窓口を前もって知らせれば、このあいまいさを減らせることがあります。
書類にはどの窓口を使えばよいか
顧問先が主にスマートフォンで書類の写真を送るなら事務所の共用 WhatsApp 番号が、電子ファイルで送るなら共用メールアドレスが向いていることがあります。大切なのは窓口を一本に決めること、そしてその窓口がスタッフの個人のスマートフォンではなく、事務所のものであることです。
不足書類リストはどう作るか
事務所が顧問先ごとに待っている書類の種類を一度書き出します。期中に届いた書類に印をつけていくとリストは短くなり、顧問先に送るリマインドには残った項目だけを含められます。
リマインドは何段階で行うべきか
段階的な方法が使えます。期の初めに全員へお知らせ、社内提出日のしばらく前に不足のある顧問先へ個別のリスト、日が近づいたら最後のメッセージ、必要なら電話です。書類をそろえた顧問先にリマインドが届かないようにすると、メッセージを真剣に受け止めてもらう助けになることがあります。
自動化は書類集めで何ができるか
自動化は繰り返しの作業で役立つことがあります。お知らせの送信、不足リストに沿ったリマインドの準備、届いた書類を該当フォルダへ保存すること、状況表の更新です。書類の内容を判断し、財務に関することを決めるのは事務所の仕事として残ります。
書類集めを一つの流れにまとめられます
お知らせ、リマインド、確認が同じ場所にあれば、月末に探し回る手間を減らせることがあります。事務所の顧問先の数や仕事の進め方に合った方法を一緒に話し合うことが、最初の一歩になるかもしれません。
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