研修 · レッスン9

チームをどう工程に入れますか?

流れは動いていても、チームが引き受けていなければ仕事はなお一人の背に乗っています。このレッスンでは引き継ぎ表を埋めます。役割、権限、最初の一週間の支え、困ったときに行く一つの扉、そして頭に残った決めごとを書きものにすること。

このレッスンで学ぶこと

ここまでのレッスンはシステムを組み上げました。仕事を選び、工程を書き、データを定め、道具を選び、流れを組み、システムをつなぎ、例外を判断しました。このレッスンは、そのシステムを使う人たちを扱います。

違いはここにあります。流れは動いていても、チームが引き受けていなければ仕事はなお一人の背に乗っています。その人が休みに入ると自動化は動き続け、その縁にある判断は止まります。引き継ぎとは、その判断も分け合うことです。

レッスンの目標

  • 引き継ぎ確認表を四つの欄で埋める
  • 誰が何を使うのかを役割で書く
  • 仕事が求めるだけの権限を与える
  • 最初の一週間そばに立つ段取りを整える
  • 困ったときに行く一つの扉を決める
  • 頭に残っている決めごとを地図へ移す

前提:動いている流れと、第七レッスンの例外記録簿。簿がなければ、引き継ぐべき判断の半分が書かれていないということです。

自動化はチームの仕事をどう変えるか

自動化は仕事を奪うのではなく、仕事の形を変えます。繰り返しの手順はシステムの側へ移り、判断と例外とお客さまとの会話は人の側に残ります。

この変化が書かれていないと、チームは二つを同時にやろうとします。これまでの手作業を続けながら新しいシステムも見張るのです。負担は減らず、二重になります。引き継ぎ表はまさにこれを先回りするためにあります。

システムへ移るもの

起動、記録づくり、データの移し、知らせ。手順が書かれていて、決めごとで動く仕事です。

人に残るもの

判断、例外、お客さまとの会話、そしてシステムが出したものを目で見ること。これは減らず、見えるようになります。

新しく生まれる仕事

待ちの一覧を見る、知らせを確かめる、簿を埋める。この仕事にも持ち主が要り、いなければ誰もやりません。

引き継ぎ確認表:四つの欄

表は一ページに収まり、各行が一人または一つの役割を書きます。四つの欄は引き継ぎで問われる四つの問いに対応します。ある欄が空のままだと、その人にはシステムが半分しか渡っていません。

引き継ぎの前に表を埋めるのと、あとで埋めるのは別ものです。先に埋めれば足りない権限や持ち主のない仕事が紙の上に出てきます。あとで埋めると、最初の一週間で一つずつ見つけることになります。

表の四つの欄

  • 誰が何を使うか:役割と、その役割が触れる画面
  • どの権限か:何を見られて、何を変えられるか
  • 最初の一週間だれが支えるか:名前の書かれた人
  • 困ったときだれに行くか:一つの扉と、その代わりの人

四つ目の欄が表を役に立つものにします。空のままだと、めいめいが違う人に尋ね、同じ問いが何度も答えられます。

誰が何を使うか

引き継ぎは名前ではなく役割で書きます。人は替わり、役割は残るからです。役割ごとに、その役割が本当に触れる画面を並べます。触れない画面は表に入りません。

この区別は教え方も変えます。全員に全部を見せる代わりに、役割ごとに自分の画面を見せます。見せなかった画面は、あとで困りごとを起こしたときどのみち扉に来ます。

役割ごとに書くこと

  • 役割の名:事務所の担当、外回りの組、経理など。
  • その役割が開く画面と一覧を、一つずつ。
  • 役割がする仕事:記録を開く、承認する、待ちの一覧を見る。
  • 役割がしない仕事も書きます。境目が曖昧だと仕事は持ち主を失います。
  • 一人が二つの役割を持つなら、一行に詰めず二行を開きます。

表が埋まると、システムのどの画面にも持ち主ができます。持ち主のない画面は、最初の月の終わりには誰も見ない画面になります。

権限:仕事が求めるだけ

権限は二つの方向で困りごとを生みます。狭く与えれば仕事が止まり、みなが同じ人のところへ行きます。広く与えれば、うっかりの変更が戻せません。

ものさしはこうです。この役割は仕事を進めるために何を見なければならず、何を変えなければならないのか。見るだけで足りる場所に、変える権限は与えません。第六レッスンのアクセスの行が、ここでは人の単位まで下りてきます。

見る権限

記録と一覧を開けること。多くの役割にはこれで仕事が回り、戻せない結果も生みません。

変える権限

記録を開く、直す、待ちの一覧を見る。誰がどの項目を変えられるかが書かれれば、議論は終わります。

管理の権限

流れを止める、決めごとを変える、新しい利用者を作る。狭く保ち、名前を書いておく権限です。

最初の一週間:そばに立つ

引き継ぎは会議一度では終わりません。最初の一週間はシステムがチームと一緒に働く週で、その週は誰かがそばに立っている必要があります。

そばに立つとは、代わりにやることではありません。尋ねられたら答え、尋ねられないときは最初の数日を目で見ることです。そばに立つ人の名前が書かれていれば、チームは尋ねるのをためらいません。

最初の一週間の段取りに書くこと

  • 誰がそばに立つか:名前の書かれた人と代わりの人
  • いつ見るか:一日のどの時間に、どの一覧を
  • 何を見るか:待ちの一覧、知らせ、初日の記録
  • どう書き留めるか:尋ねられたことをどこに書くか
  • いつ終わるか:どの条件で見守りがゆるむか

尋ねられたことは例外記録簿の入り口になります。同じ問いが三度来たなら、足りないのは人ではなく書かれていない決めごとです。

困ったときだれに行くか

引き継ぎでいちばん飛ばされやすい行がこれです。チームが困りごとに出会ったとき、システムを組んだ人に行くのか、責任者に行くのか、提供元に行くのか。書かれていないと、めいめいが別の扉を叩き、同じことが何度も語られます。

一つの扉とは、困りごとを一人に積むことではありません。扉は、入ってきた困りごとを仕分けして正しい先へ渡す場所です。使い方の問いか、例外か、本当の不具合か。

1 使い方の問い

「これはどこからやっていたか」の類。最初の一週間を支える人へ行き、答えは手引きの覚え書きに加わります。

2 例外

決めごとが受けもたない場面。簿の持ち主へ行き、判断が下り、一行が開きます。

3 不具合

書かれているのにシステムが違う動きをする。診断の確認表で絞ってから、組んだ側へ行きます。

教えるより見せる

チームにシステムを分かってもらういちばん短い道は、その人たち自身の記録の上で見せ、そのあと自分でやってもらうことです。説明だけでは、最初の本物の記録で忘れられます。

見せるときに使う記録は本物で、しかし結果が戻せるものがよいです。試しの記録とは、名前で見分けがつき、あとで片づける記録のことです。

見せる順番

  • 自分の仕事から記録を一つ選び、端から端まで一緒に通します。
  • 二つ目の記録はその人自身がやります。誰かがそばに立ちます。
  • どこで詰まるかを書き留めます。その覚え書きは手引きではなく直しの入り口です。
  • 画面の写しではなく、短い書きものの手順一覧を残します。
  • 同じ見せ方を、新しく来た人にも繰り返せるようにします。

見せることの結果は文書ではなく、その人が一人で終えた二つ目の記録です。文書はその記録のそばで役に立ちます。

抵抗はどこから来るか

抵抗はたいてい技術にではなく、はっきりしないことに向きます。「仕事を取られるのか」「間違えたらどうなるのか」「前のほうが早かった」という言葉の下に、答えられていない三つの問いがあります。

これを話さずに行う引き継ぎは、システムが使われないまま脇に置かれて終わることがあります。システムがあることは、使われていることを意味しません。

仕事への不安

自動化がどの手順を引き取り、人にどの仕事が残るかが書かれれば、不安は手に取れる一覧になります。

間違いへの恐れ

巻き戻しの道を見せると小さくなります。誤った記録がどう直るかを知っている人は、システムを避けません。

慣れ

古い道がまだ開いていれば、新しい道は使われません。手作業の代わりをあえて開けておくなら、どの場合に使うかを書きます。

頭の中の決めごと:書かれていない知

どのチームにもシステムにない決めごとがあります。どのお客さまに先に折り返すか、どの依頼を待たせるか、どんなときに電話を取るか。これはたいてい一人の頭の中にあります。

引き継ぎはその知を見えるようにする最良の時です。最初の一週間、問いはひとりでに来るからです。答えを書き留めるほうが、同じ問いに二度答えるより安くつきます。

最初の一週間に書き起こすこと

  • 最初の一週間に来た問いを、答えとともにすべて書き留めます。
  • 繰り返す問いは工程地図に決めごととして入れます。
  • 人に結びついたまま残る決めごとは役割の説明に書きます。
  • 誰も知らなかったのにシステムが当てている決めごとも書きます。
  • 書かれた決めごとはチームが見える一か所に置きます。

この段階が閉じると、引き継ぎは画面だけでなく判断まで含みます。本当の引き継ぎはそれです。

引き継ぎの試し:チームは回せるか

第二レッスンで工程地図に対して行った引き継ぎの試しを、ここではシステムに対して行います。ものさしは同じです。書かれたものは、書いた人なしで回りますか。

試しのあいだ、システムを組んだ人は一日わきに退き、チームが自分たちで仕事を回します。尋ねられたことと詰まった場所が、試しの結果です。

引き継ぎの試しで見ること

  • チームは組んだ人に尋ねずに一日を終えられたか
  • 待ちの一覧は見られたか、誰が見たか
  • 知らせが来たなら、しかるべき人に届いたか
  • 例外が出たなら、簿に書かれたか
  • どの手順で詰まり、どの情報が足りなかったか

一度通っただけでは引き継ぎが終わったとは数えません。二度目も同じ結果なら数えます。一度目には運の分があります。

端から端までの例:不動産事務所のチームが引き受けます

事務所は試行の仕事を選び、工程を書き、データを定め、道具を選び、流れを組み、システムをつなぎ、例外記録簿を開きました。ここまでシステムを使っていたのは一人、事務所の担当です。

引き継ぎでは二つの役割が定まります。事務所の担当と、外回りの相談員です。二つの役割の画面と権限が違うので、表は二行で開きます。

事務所が埋めた引き継ぎ表

事務所の担当の行:問い合わせ一覧、待ちの一覧、例外記録簿の画面を使います。権限は記録を開く、直す、待ちの一覧を見る、と書かれ、流れを止める権限は与えられません。最初の一週間の支えはシステムを組んだ人、代わりは事務所の管理者です。

外回りの相談員の行:自分の問い合わせだけを見て、面会の結果を書きます。見る権限は広く、変える権限は一つの項目に限られます。この区別が初日から書かれているので、「うっかり他人の問い合わせに触れる」という話はそもそも起きません。

最初の一週間の段取りはこう置かれます。毎朝、待ちの一覧を見て、午後に知らせを確かめ、問いは覚え書きに書きます。一週間で十二の問いが来ます。九つは使い方の問い、二つは例外、一つは本当の不具合として仕分けられます。

繰り返した三つの問いは工程地図に決めごととして入ります。「電話が空のときどうするか」「同じ人の二度目の書き込みはどの記録へ行くか」「面会が取り消されたとき記録はどこで待つか」。三つとも頭の中にあった決めごとで、引き継ぎがそれを書きものにします。

二週目の引き継ぎの試しで、事務所は組んだ人に尋ねずに一日を終えます。詰まった手順は報告の画面一つだけで、その手順の覚え書き一覧も同じ日に書かれます。

練習:今週すること

今週は引き継ぎ表を開き、システムを使うことになる役割ごとに一行ずつ書いてください。新しい組み立てを待つ必要はありません。すでに動いている流れの引き継ぎも同じ表で行います。

引き継ぎ確認表をダウンロード(xlsx) · 誰が何を使うか、どの権限か、最初の一週間だれが支えるか、困ったときだれに行くかの四つの欄を持つ一ページの表。見せること、最初の一週間の問い、引き継ぎの試しも入っています。

よくある間違い

下の間違いはシステムからではなく、引き継ぎが半分で終わったところから出てきます。共通するのはこれです。どれもシステムでは不具合として見えません。

会議で引き継ぐ

発表をして引き継ぎが済んだことにします。最初の本物の記録で問いが始まりますが、そばには誰もいません。

全員に同じ権限

楽だからと全員に広い権限を与えます。うっかりの変更を誰がしたのかも分かりません。

古い道を開けたままにする

手作業の古い道を閉じず、決めごとも書きません。忙しい日にチームはそこへ戻り、システムは半分しか使われません。

問いを書き留めない

同じ問いが三人に三度たずねられます。答えは毎回作り直され、ときに違って出ます。

持ち主のない新しい仕事

待ちの一覧を見る、知らせを確かめるといった新しい仕事が誰にも書かれません。しばらくすると誰もやらなくなります。

一人に結ばれたまま

システムを使えるのが一人だけ。その人が休みに入ると判断が止まり、自動化が動いていても仕事は進みません。

確認の一覧

引き継ぎの週が終わったとき、この一覧のどの項目にも答えられるなら、引き継ぎは据えられたと数えます。

引き継ぎは据わっているか

  • 役割ごとに一行があり、四つの欄が埋まっている
  • 役割が触れる画面と、しない仕事が書かれている
  • 見る権限と変える権限が別々に与えられている
  • 最初の一週間の支えと代わりの人が名前で書かれている
  • 困ったときの扉と仕分けのものさしが書かれている
  • 見せることを行い、二つ目の記録は本人がやった
  • 最初の一週間の問いが答えとともに書き留められた
  • 繰り返した問いが地図に決めごととして入った
  • 引き継ぎの試しを二度行い、その結果を書いた

用語

引き継ぎの話に出てくる言葉です。役割と権限を同じ呼び名で呼ぶと、表は二か月目にも読めます。

次に来るもの

このレッスンでシステムを人へ引き継ぎました。役割と権限を書き、最初の一週間の段取りを整え、一つの扉を決め、一人の頭にあった決めごとを書きものにしました。次のレッスンは結果を測ることと、組んだものを大きくすることを扱います。

すでに出ているレッスンから続けたい場合は、流れの縁にある例外を簿で扱うモジュールが次に来ます。

レッスン8: 例外と不具合の扱い

例外記録簿、知らせの道、静かな不具合を見えるようにする測り。

レッスン2: プロセスを書き出す

工程地図と引き継ぎの試し。ここでの試しは、その試しをシステムに対して行うものです。

すべてのレッスン

研修の部分の全体と、その後に加わったモジュール。

引き継ぎ表を一緒に埋めたい場合はご連絡ください。役割を一緒に洗い出します。

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よくあるご質問

引き継ぎには研修が要りますか
発表より見せるほうが効きます。その人自身の仕事から本物の記録を選び、端から端まで一緒に通し、二つ目は本人がやります。結果は文書ではなく、一人で終えた二つ目の記録です。文書はそのそばで役に立ちます。
権限を広く与えたほうが速くありませんか
短く見れば速く、そのあと跡の残らない変更を生みます。ものさしはこうです。その役割は仕事を進めるために何を見て、何を変えねばならないか。見るだけで足り、変える権限を与えない場所では、うっかりの変更も減り得ます。
最初の一週間の支えはどれくらい続けますか
期間ではなく条件で終わります。チームが尋ねずに一日を終えられ、待ちの一覧が定期的に見られているなら、見守りはゆるめられます。引き継ぎの試しが二度同じ結果を出したとき、引き継ぎは終わったと数えます。一度目には運の分があります。
チームが新しいシステムを使いたがらないときは
抵抗の下にはたいてい答えられていない三つの問いがあります。自分の仕事はどうなるのか、間違えたらどうなるのか、前のほうが早くなかったか。どの手順がシステムへ移ったか、巻き戻しの道はどう働くか、古い道はどの場合に使うかが書かれると、話は手に取れる一覧になります。
頭の中の決めごとはどう書きものにしますか
引き継ぎの週がそのための最良の時です。問いはひとりでに来ます。来た問いを答えとともに書き留め、繰り返すものは工程地図に決めごととして入れます。同じ問いが三度来たなら、足りないのは人ではなく書かれていない決めごとです。