自動化の話になると、最初の問いはたいてい「どの道具を使うか」です。しかし案件を止めるのは道具であることが少なく、最初に選ぶ業務を取り違えていることが多いのです。この講では、その業務が順番に載せる値打ちがあるかを測る方法を扱います。
このレッスンでは、自動化を始めるときの最初の判断を扱います。どの業務を先に列に並べるか、という問題です。ツール選び、費用、導入作業はここでの題材ではありません。目的は、手元の業務のなかから最も適したものを測って選び、その選択を理由とともに他の人に説明できるようになることです。
レッスンを終えると、手元に三つの具体的な成果が残ります。業務の棚卸し表、選んだ業務の書かれたプロセス地図、そしてその業務の今日の基準値です。この三つがないと、後になってシステムが役に立ったかどうかを測れなくなることが多いです。
前提知識は要りません。ソフトウェアの知識も求められません。紙とペン、あるいは空の表が一つあれば足ります。
自動化とは、規則があらかじめ書かれている業務が、その規則が成り立つたびに人の手を介さずに実行されることです。定義の重みは、あらかじめ書かれているという部分にかかっています。規則のないところに自動化はなく、手元に残るのは願いだけです。
自動化は判断する主体ではありません。決めることを学ぶのではなく、あなたが下した決定を繰り返します。実務ではここに表れます。業務をしている人が場合によると言うなら、その業務はまだ自動化に熟していません。まず場合によるの中身を開き、どの場合に何をするのかを書きます。
繰り返される業務が、書かれた規則に従って自分で動くことです。記録を残し、順番を守り、忘れません。同じ入力には同じ出力を返します。
壊れたプロセスの修理でも、社員の代わりになる頭脳でも、一度きりの仕事の近道でもありません。それを期待すると、作られたシステムは期待の下に留まります。
判断を要する業務、例外が規則より多い業務、入力が毎回違う形で届く業務です。ここでは自動化は手伝うことはできますが、業務を引き取るのは難しいです。
どのツールで作られても、あらゆる自動化は同じ五つの部分からできています。この言葉を覚えると、プロセスを書くときに何を探せばよいかが分かります。続く手順は、この五つの見出しを埋めていく作業です。
自動化を始める出来事です。フォームの送信、メールの到着、時刻の到来、記録の状態変更。どの自動化にも、はっきりした始まりが一つ必要です。
きっかけのあとに順番に行う作業です。記録を作る、メッセージを送る、項目を更新する、書類を作る。手順の順番そのものが結果になります。
道の分かれ目です。新規の顧客か既存か、金額が基準を超えるか、書類が欠けているか。条件が書かれていないと、自動化は最初の異なる場面で違う道に入ります。
システム同士のつながりです。フォームから表へ、表からメッセージへ、会計から倉庫へ。データはここを通り、誤りの多くもここから出ます。
何かがうまくいかないときに起きることです。誰に知らせるか、記録がどこで待つか、業務を手作業でどう引き継ぐか。この部分なしに作られた自動化は静かに止まります。
事業は上の段階から始めたがることが多いのですが、下の段階が立つ前に上の段階が持つことはまれです。自分がどの段階にいると見るかが、次に選ぶ業務を左右します。
一つのシステムの中で、書かれた規則に従って動く業務です。リマインドを送る、記録をある一覧から別の一覧へ移す、書類を作る。この段階の業務は、たいてい最も早く元が取れます。
複数のシステムがつながります。フォームから来た記録が表へ、そこからメッセージと会計へ流れます。規則の段階が落ち着く前にここへ移ると、誤りが倍になりがちです。
文章を読み、分類し、優先順位を付け、返信の下書きを整える段階です。決定はあなたに残り、システムは準備だけをします。下の二段階がないと、この段階の入力はあまり信頼できません。
症状はたいていの事業で同じです。システムが作られ、数週間使われ、そのあと誰も開かなくなります。導入が責められ、ツールが替えられ、二度目の試みも同じ場所に着きます。原因が技術であることはまれで、選択のなかにあります。
間違って選ばれた業務には三つの典型的な顔があります。一つ目はまれな業務です。月に一度行う仕事を自動化しても、導入と維持の負担をたいてい賄えません。二つ目は規則が書けない業務です。行っている人が手順を説明できないなら、機械に渡すものがありません。三つ目は誰も困らせていない業務です。間違っても代償がないなら、自動化にも優先度はありません。
選ぶには、まず選択肢を見る必要があります。棚卸し表とは、事業のなかで繰り返される業務を書き出した一覧です。目的は網羅することではなく、比べられるようにすることです。一週間のあいだ行った仕事を書き留めるだけで、たいていの事業では使える出発点になります。
棚卸し表は推測ではなく、人に尋ねて作ってください。業務をしている人は、あなたが思い描くのとは違う形でプロセスを回しているかもしれません。業務ごとに同じ五つの問いを立て、答えを同じ形で書いてください。
一覧を作るとき、業務をまとめないでください。顧客フォローは業務ではなく見出しです。その下には見積もりを送る、リマインドを出す、記録を更新するといった、それぞれ別に自動化できる業務が並びます。見出しの段階に留まった棚卸し表は、次の手順で採点できません。
ここでは棚卸し表で目立った業務を書きます。ものさしはこうです。あなたの場所に別の人が入ったとき、その文章だけで業務を最初から最後まで行えること。この文章は自動化の下書きであると同時に、業務の今日の姿の記録になります。
書くときは五つの部分を順番に埋めてください。判断の分かれ目が最も大事な部分です。どの場合に何をするか、例外がどこで出てくるか。これらが書かれないと、作られた自動化は最初の例外で止まり、なぜ止まったのか誰にも分からなくなります。
文章が出てこないところで止まってください。プロセス地図が形にならないなら、問題は文章力ではなくプロセス自体にあります。その業務はまだ自動化の準備ができておらず、それを早く見るほうが作ったあとに見るより安く済みます。
棚卸し表の業務を同じ三つの基準で採点してください。採点は選択を個人の好みから引き出し、比べられるものにします。基準ごとに低い、中くらい、高いで足ります。望むなら 0-100 の範囲の点数を使うこともできます。
その業務は週に一度より多く出てきますか。頻繁な繰り返しは、自動化が引き合う場所です。まれな業務では、導入と維持の負担が利益を上回ることがあります。
手順2の地図は出てきましたか。出てこないならこの基準は低く、他の二つが高くても待つほうが確かです。規則のない業務を自動化することは、判断を機械に渡すことになります。
この業務が間違って行われると何が起きますか。顧客やお金を失うなら、その業務は優先度が高いです。何の代償もないなら、自動化も急ぎではありません。
三つの基準の重みは同じではありません。規則が書けるかは前提条件です。これが低ければ、他の二つの点数がどうであれ業務は一覧の下に下がります。繰り返しの頻度と誤りの代償は互いを補います。どちらかが高ければ、その業務は候補になります。
採点した一覧を並べ替え、いちばん上の業務ではなく、上のほうの業務のなかで最も小さいものを選んでください。パイロットの目的は最大の利益を得ることではなく、方法をチームに見せ、システムがあなたの事業でどう動くかを見ることです。
良いパイロットは範囲が狭く、きっかけが一つで、成果が目に見え、うまくいかなければ手作業で戻せます。この四つが揃えば、パイロットはチームに信頼を積みます。揃わなければ、最初の試みでのつまずきが考え全体を曇らせることがあります。
作り始める前に、今日の写真を撮ってください。測らずに始めると、後で良くなったと言うのは推測にもたれかかります。比べる基準値がなければ、システムが役に立ったかどうかは議論のまま残ります。
測るものは少なく保ってください。所要時間、頻度、誤りの回数で、たいていの業務には足ります。これらを一週間記録し、作ったあとに同じ測り方を繰り返してください。違うやり方で測った二つの値は比べられません。
方法を一つの例で最初から最後までたどってみましょう。例は不動産事務所を通りますが、手順は業種と関わりなく働きます。
棚卸し表: 事務所は一週間、繰り返される業務を書き出します。ポータルから来る問い合わせを記録する、問い合わせた人に折り返す、物件情報を更新する、契約書類を用意する、月次の一覧報告を出す。
採点: 問い合わせの記録は頻繁に繰り返され、規則も書け、返答が遅れると顧客を失います。三つの基準すべてで高いです。契約書類はまれで例外が多く、規則が書きにくいです。月次報告はまれですが規則は明確です。
プロセス地図: きっかけは、ポータルから新しい問い合わせが落ちてくることです。手順は、記録を作る、担当の担当者に割り当てる、顧客に受付の連絡を送る、返答が出ていなければリマインドする。条件は、問い合わせが来た地区の担当者に渡ることです。例外は、地区が合わないとき記録が事務所の共通の場で待ち、責任者に知らせることです。
パイロット: 事務所はプロセス全体ではなく、受付の連絡と割り当ての手順だけを作ります。狭く、目に見え、手作業で戻せます。
基準値: 問い合わせへの返答時間、週あたりの問い合わせ件数、返答のないまま閉じた問い合わせの件数を、作る前の一週間記録します。同じ測定を作ったあとに繰り返します。
このレッスンが引き合うために必要なのは一つだけ、下の練習を自分の事業で行うことです。一週間掛かり、その成果が次のレッスンの入力になります。
練習で詰まる場所が、あなたのプロセスの弱いところです。プロセス地図が出てこない業務は、自動化より先に整えるべき業務です。
業務棚卸と採点表をダウンロード(xlsx) · 五つの問いの棚卸、三つのものさしの採点、試行業務の選び、始まりの値が一枚に入っています。
ツールは最後に来ます。業務が選ばれ規則が書かれたあとは、どのツールが合うかはたいてい自然に見えてきます。逆の順で進むと、ツールに合う仕事を探すことに変わります。
自動化はプロセスを速くしますが、直しはしません。散らかったプロセスを自動化すると、散らかりも同じ速さで増えます。まずプロセスが簡単になり、そのあとに自動化が来ます。
最も時間を食う業務は、たいてい最も込み入っています。最初の構築で込み入った業務に入ると、チームは方法を見る前に疲れます。
例外の道なしに作られた自動化は静かに止まります。止まったことに誰も気付かず、記録がどこかに溜まり、信頼の目減りはここから始まります。
基準値が記録されていないと、結果は議論に開かれたままです。システムが役に立った場合でも、それを示すデータがありません。
プロセスを一人からだけ聞くと、その人の習慣を規則と取り違えます。二人の社員が同じ業務を説明すると、違いが見えてきます。
構築の話をする前に、下の項目すべてにはいと言えるほうがよいです。欠けている項目があれば、その項目が次にやることです。
構築の話で出てくる基本の用語です。このレッスンの言葉はこの上に建っています。
このレッスンでは次の業務を選び、三つの基準で採点しました。次のレッスンはその業務を書き出すことを扱います。境を引き、手順を誰が何をし何が出るかの形で書き、判断の分かれ目と例外を印します。
書き出したプロセスは第3レッスンの入力にもなります。どの項目を集めるかは、その地図から出てきます。
境、手順、判断の分かれ目、例外、引き継ぎ試験。このレッスンのパイロット業務がそこで地図になります。
どの項目を集め、どう定義し、どこに置くか。
研修セクションの全体と、あとから加わったモジュール。
どの業務から始めるか決めかねている場合は、ご連絡ください。手順を一緒に見ていきます。
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