一週間、入ってくる仕事に追われて過ぎ、夕方になると新しいお客様を探すために空けた時間がまた空のまま残ります。翌週には、今のお客様の一人が長く顔を見せていないことに気づきます。
小さな店では、手間が二つの方向へ同時に向かいます。新しいお客様を見つけることと、すでにいるお客様との関係を続けることです。この記事では、それぞれの道がどんな手間を求めるか、どの時期にどちらが前に出るか、そして同じ時期に両方をどう進められるかを見ていきます。
⚡ シナリオ例:あるクリーニング店では、仕事の多くが同じ町内から通うお客様から来ています。看板を新しくしたあと新規のお客様が増え、目はそちらへ向きます。数か月たつと、以前から通っていたお客様の一部が来なくなっていることに気づきます。店が、お客様ごとの最初の来店のきっかけと最後に預かった日付を簡単な帳面に書くと決めれば、どちらの側がどれだけの手間を求めるかが見えやすくなります。
手間は二つの道にどう分かれるか
新しいお客様を得るには知ってもらう手間と最初の応対が要り、今のお客様と続ける仕事は覚えていることと記録に支えられます。 どちらの道も時間を使いますが、その時間の行き先は同じではありません。
下の表は、それぞれの道が求める手間と、前に出やすい時期をまとめたものです。
| 道 | 求められる手間 | 前に出やすい時期 |
|---|---|---|
| 新しいお客様を探す | 知ってもらう、最初の応対、見積もり | 仕事の流れが細るとき |
| 初めてのお客様を迎える | 質問に答える、仕事を説明する | 新しい品目を加えたとき |
| 今のお客様へ連絡する | 覚えている、頃合いを見て知らせる | 仕事が終わったあとの数日 |
| 仕事のあとの連絡 | 短い確認、足りない点を尋ねる | 引き渡しのすぐあと |
| 記録を一か所にまとめる | メモを取る、日付を書く | どちらの道にも |
新しいお客様を得るには何が要るか
新しいお客様を得るには、店が見えていることと、最初の問い合わせに頃合いよく答えることが求められます。 この手間の一部は仕事の外で、まだ誰も注文していない場所で使われます。
最初の一歩は、店がどこで目に入るかです。看板、知り合いの勧め、地図の登録、あるいは検索。それぞれ別の道から届き、それぞれ別の手間を求めます。
来店したお客様にどこで店を知ったかを尋ね、短いメモとして残すと、どの道が応えているかが見えてきます。そのメモの残し方はお客様がどこから来たかを知る方法の記事で取り上げました。
最初の問い合わせに答えることも、この手間の一部です。返事が遅れたお客様は、答えを別の場所で探すかもしれません。
今のお客様と続けるには何が要るか
今のお客様と続ける仕事は、以前に話したことと約束したことが頭に残っていることを求めます。 ここでは知ってもらう手間が、覚えている手間に場所を譲ります。
この関係では信頼が先に育っており、仕事を一から説明し直す場面は多くありません。その代わり関係はひとりでには続かず、思い出されないと静かに細ることがあります。
仕事を引き渡す場面は、この関係がもっとも見える場面の一つです。その前の支度の順序は仕事をお客様に引き渡す前の準備の記事で取り上げました。きれいに終わった仕事は、お客様が戻る道を軽くします。
仕事が終わったあとの短い連絡も、この手間に入ります。足りない点がないかを尋ねることで、問題が早く見え、関係も開いたままになります。
どの時期にどちらが前に出るか
どちらが前に出るかは、その日の店の様子によって変わります。仕事の流れが細る時期には新しいお客様を探すことが前に出ますし、忙しい時期には手元の仕事をきれいに終えることのほうが多くの手間を求めます。
新しいお客様を探す仕事は、たいてい今日やらなくてよく見える仕事に入り、入ってくる仕事の陰に残りがちです。この残り方については急ぎの用に大事な仕事が埋もれるときの記事で取り上げました。
季節で動く店では、順序が時期ごとに入れ替わります。静かな月に知ってもらい、忙しい月に関係を保つという形です。この順序は仕事そのものの調子が決めてくれます。
同じ時期に二つの道を進める
二つの道を順番に並べるのではなく、同じ時期に進めることもできます。そのために空ける手間は大きくある必要がなく、小さく規則正しければ足ります。
1. 週にわずかな時間を空ける
週のうち決まった一時間を新しいお客様の仕事だけに空けると、その仕事が入ってくる仕事の中で埋もれにくくなります。同じ週の短い時間を、以前のお客様へ連絡するために使うこともできます。
2. 記録を一か所にまとめる
新しいお客様と以前のお客様を別々の場所に置くと、二つの間を行き来しにくくなります。一か所にまとめた記録は、誰がいつ来たか、誰が長く来ていないかを並べて見せてくれます。
3. 連絡のための覚え書きを残す
見積もりや仕事のあと、いつ連絡するかを記録に書いておくと、その連絡が抜けにくくなります。見積もりのあとの静けさの受け止め方は見積もりを送ったのに返事がないときの記事で取り上げました。
今のお客様を遠ざけうる小さなこと
今のお客様を遠ざけるものは、大きな失敗よりも、日々の流れで見落とされる小さな抜けであることが多いです。 一つずつなら小さく見え、重なってはじめて目に入ります。
同じ質問が毎回はじめから繰り返される、返事が遅れる、約束が覚えられていないといったことが、その抜けに入ります。その多くは記録と覚え書きで避けられます。
繰り返される質問の受け止め方はお客様から同じ質問が続くときの記事で取り上げました。用意した答えは、お客様の待ち時間を短くし、同じ仕事の繰り返しを少なくします。
記録から手間の行き先を見る
手間の行き先は、当て推量ではなく残した記録から見えます。記録が素朴なほど、目を通すのも楽になります。
下の表は、小さな記録が持てる項目と、それぞれが示しうることをまとめたものです。
| 記録の項目 | 書く内容 | 示しうること |
|---|---|---|
| お客様の来た道 | 最初の接点がどこからか | どの道が応えているか |
| 最初に話した日 | 日付と用件 | 接点から仕事までの間 |
| 出した見積もりとその後 | 見積もりの日と返事 | 返事のなかった見積もり |
| 最後の仕事か買い物 | 日付 | 長く顔を見せないお客様 |
| 話した内容の覚え書き | 約束した用件 | 次の連絡でどこから続けるか |
これらの項目を折に触れて見ると、どちらの道に手間が多く向かい、どちらが後ろに残っているかが見えます。決めるのは表ではなく、店そのものです。
まとめ
新しいお客様を得ることと今のお客様と続けることは、互いの代わりになる道ではなく、別の手間を求める二つの道です。一方は知ってもらうことと最初の応対に、もう一方は覚えていることと連絡に支えられます。どちらが前に出るかは店の時期によって変わります。同じ時期に二つを進めるには、週にわずかな時間を空け、記録を一か所にまとめ、連絡のための覚え書きを残せば足ります。この釣り合いは、店そのものの調子が決めます。
よくあるご質問
新しいお客様と今のお客様、どちらが先ですか。
互いの代わりにはなりません。どちらが前に出るかはその時期の仕事の流れで変わり、どちらにもわずかな時間を空けておくことができます。
今のお客様との関係を続けるには何が要りますか。
以前に話したことを覚えていること、約束したことを追いかけることが要ります。短い記録と頃合いのよい連絡で足りる場面が多くあります。
新しいお客様がどこから来たかを知る方法はありますか。
来店したお客様にどこで店を知ったかを尋ね、答えを短いメモに書けば足ります。重ねるうちに、どの道が応えているかが見えてきます。
長く顔を見せないお客様に気づくにはどうしますか。
最後の仕事か買い物の日付を記録に書くと見えるようになります。折に触れて一覧を見れば、間に残ったお客様が自然と前に出ます。
同じ時期に二つの道へ時間を分けられますか。
週の決まった一時間を新しいお客様に、短い時間を以前のお客様への連絡に空けられます。小さくても規則正しい割り当てが二つの道を開けておきます。
