情報がひとつ入ってきます。まず手帳に書き、次にExcelへ移し、夕方に業務システムへ入力します。同じ一行が三か所に。

多くの人はこれを時間の無駄だと捉えます。本当の問題はそこではありません。本当の問題は、いつか三つのうちどれが正しいのか分からなくなることです。

この記事は、二重入力がどこから生まれ、どうすれば閉じるのかについてのものです。

二重入力は怠けから生まれない

同じ情報を好んで二度入れる人はいません。二重入力はたいてい何かの不足を埋めるために生まれ、その不足が埋まらないかぎり続きます。

いちばん多い理由はこうです。システムができないことがあるので、その横に手帳や表が置かれます。システムが請求書は出すのに納品日を持たないなら、納品日は別の場所に書かれます。

二つ目の理由は使える人の範囲です。システムを一人しか使えないなら、ほかの人は自分の記録をつけます。三つ目は信頼です。一度でもシステムが外れたことがあれば、人は自分の控えを持ち始めます。

二重入力が生まれる五つの場所

下の表は、小さな会社でいちばんよく見かける五つの地点をまとめたものです。

どこでなぜ生まれるかその兆し
受注のとき電話中は手帳へ、あとでシステムへ手帳を見ないと受注の状況が言えない
在庫の管理でシステムが数え、倉庫は自分の一覧を持つ棚卸しの日に二つの一覧が合わない
顧客情報で電話帳は別、システムは別同じ取引先が二つの名前で登録されている
入金の管理で口座明細は別、入金一覧は別月末に誰が払ったのか答えられない
勤怠の管理で出退勤は紙、給与はシステム休暇の一日が二つの記録で違って見える

五つに共通するのはこれです。どれも悪い習慣ではありません。どれもその時に足りなかった何かを埋めるために置かれたものです。

放っておいても直らない理由

置かれた日の二重入力は無害に見えます。害は時とともに積もり、三つの方向からやってきます。

ずれ。 二つの記録はしばらくすると離れていきます。片方は更新され、もう片方は残ります。どちらが新しいのかを知る手立てがなくなります。

死角。 二つの一覧を同時に読む人はいません。判断するとき手元にあるほうを見て、もう片方に書かれていることは見えなくなります。

引き継げないこと。 ひとつの仕組みを説明するのは易しく、二つの仕組みとその間の暗黙の約束を説明するのは難しいものです。こうして仕事は人に結びつきます。同じ話はあなたが不在だと仕事が止まる場合で扱っています。

三つの出口

二重入力を閉じる道は三つあり、それぞれ別の状況に向いています。

どんなときに向くか気をつけること
片方を閉じる二つの記録の一方が本当に要らないとき閉じる前になぜ置かれたのかを尋ねる
移しを自動にする両方が要り、片方がもう片方を養うとき向きは一つに、二方向は混乱を生む
不足を埋める手帳がシステムにできないことをしているときその項目を入れれば手帳は自然に外れる

三つ目の道はたいていいちばん長持ちしますが、いちばん多くの話し合いを求めます。手帳が何のためにあったのか分からないまま閉じれば、一週間で新しいものが現れます。

始める前の三つの測り

どの道が向くかを知るには、三つ測れば足ります。

測りやり方何が分かるか
何か所で持たれているかひとつの情報を選んで追いかける本当の数はたいてい思ったより多い
どちらが新しいかそれぞれの記録から一行ずつ選んで見比べるずれていれば問題はもう始まっている
誰が何を見ているか判断する人にどちらを見ているか尋ねる死角はここから出てくる

三つとも一時間ほどで終わり、紙の上でやるのがよいのです。記憶でした測りは測りになりません。同じ区別はExcelでの顧客管理が追いつかなくなるときにも出てきます。

自動にする前に簡素にする

二重入力を見て最初に浮かぶのは、二つの仕組みをつなぐことです。それが正しい場合もありますが、順番は二番目です。

先に答えるべき問いはこれです。二つの記録のうち片方は消せるでしょうか。消せるなら、つなぐ必要はありません。つなぐことは、外せたはずのものを居座らせることにもなり得ます。

そしてつなぎ目にも保守がついてきます。片側が変わるとつなぎ目は切れ、誰も気づきません。この危うさは自動化の案件がうまくいかない理由で詳しく扱っています。

簡素にすることが金額に及ぼすこと

二重入力を抱えた会社では、抱えていない会社より仕事が大きくなります。古い記録を見比べ、どちらを正とするかを決め、片づける必要があるからです。

ですから見積もりを求めるとき、二重入力の状況を伝えるほうがご自身のためになります。伝えられなければ範囲が短く書かれ、仕事の途中で膨らみます。範囲が金額に及ぼすことは同じ仕事に二つの金額を出した理由で扱っています。

まとめ

同じ情報を二度入れることは習慣ではなく、不足の兆しです。不足が見つかる前に記録を閉じれば、その場所に新しいものが入ります。

順序はこうです。まずどこでなぜ生まれるかを測り、次に片方を閉じるか不足を埋め、つなぎ目は最後に考える。

人を増やすことをお考えなら、隣り合う問いを人を雇うべきか、自動化すべきかが扱っています。

よくあるご質問

二重入力はいつでも問題ですか。

いつもではありません。意識して持ち、定期的に見比べている控えの記録は役に立つことがあります。問題が生まれるのは、二つが見比べられず、どちらが正しいか誰も知らないときです。

手帳はやめなければいけませんか。

やめる必要はありません。手帳がシステムより速くできることがあるなら、その機能をシステムに入れる話をする価値があります。手帳をなくすことが目的ではなく、不足を埋めることが目的です。

二つの仕組みをつなぐのが答えですか。

答えになることもありますが、順番は後です。まず記録の片方が消せるかどうかを見るほうが先です。つなぎ目そのものも保守を求める造りです。

古い記録はどうなりますか。

どちらを正とするかを決める前に移すべきではありません。その判断なしの移行は、二重入力を一か所に集めるだけで終わります。

新しいやり方にみんな合わせてくれますか。

不足が埋まっていれば、たいてい合わせます。二重入力は必要から生まれたものなので、必要が満たされれば古い記録は自然に置いていかれます。